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大山の自然や景観、歴史文化を活かした
国際的基準での名峰観光プログラムづくり!
名峰景観ツーリズム・シンポジウム大山の開催企画書




平成23年6月
グラウンドワーク大山蒜山
代表 徳永 巧

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1.事業の趣旨と目的




今、日本に全世界から注目が集まっている。3月11日の東日本大震災や原子力発電所事故によるものが大きいが、それ以前から漫画アニメ文化やミシュランの高い格付けなど、欧米を中心に静かな日本ブームが高まっていた。 外国人は、京都や奈良に代表されるように、日本は独自の歴史文化を有し、四季の変化に富んだ美しいと評価し、日本を訪れたいと考えていた外国人は多く存在しているとされている。

その一方で、実際に日本を訪れる外国人はというと、他の先進諸外国に比べ、その数は多いとは言えず、震災復旧や原子力発電所事故の終息とともに、国際的な視点や評価にもとづく観光プログラムづくりが必要とされている。

 世界的にみて最も美しいとされ、生物多様性に富んだ日本の自然、そして四季折々の変化に富んだ自然と共生する人の生活から生まれた日本固有の歴史文化、これは従来から観光資源として高く評価され、外国人観光客には人気とされてきた。そして、これら自然や景観、歴史文化を上手く資源活用し、農山村の活性化につなげる観光プログラムの開発に期待が高まっている。

 ここでは、四季の変化に富んだ火山国日本という自然的特長に着目し、富士山、大山に代表される美しい名峰の景観や自然を科学的かつ文化的な視点のものに紹介することで、日本固有の自然の魅力を世界に発信していく。

 火山国の日本には、富士山、大山をはじめ、羊蹄山、岩手山、岩木山、鳥海山など、美しい火山峰が多く見られ、これらの名峰は、信仰の山(霊峰)、地域のシンボル、地方のランドマーク、「ふるさとの山」として、古来より多くの人たちに崇められており、とりわけ、鳥取県の大山ではブナ自然林など神聖な空間として山の自然がよく保全されてきた。

 また、これら名峰の周辺には秘湯・名湯や滝・渓谷、清流、湖沼、牧野などの景観資源も数多く見られ、名峰山麓の農村域には歴史文化遺産も多く残されている。そして、何よりも麓の人里や農村域から眺める秀麗な名峰の景観は、日本を代表する心の風景である。

 しかし、その一方で、これら名峰の存在やその魅力について、多くの日本人はあまり関心を持っていない。また、多く語られてこなかった。ほとんどの国民は、富士山は知っていても、大山、羊蹄山、岩手山、岩木山、鳥海山など富士山に匹敵する美しい名峰の存在について、詳しく知っている日本人は少ない。そして、多くの外国人が憧れる富士山でさえ、富士山の魅力を十分に楽しむことのできる国際的な視点での観光プログラムは少なく、多くの来訪者は、富士登山や富士五湖巡りで終わっている。

雄大で美しい名峰の山容や景観はもちろん、山とその山麓域に残る生物多様性の高い自然、大地の躍動を伝える変化に富んだ火山地形、山岳信仰などから生まれた歴史文化遺産、山麓の農山村地帯に広がる牧歌的風景、静かな山里の風景とそこにいきづく自然と共生する生活文化、そして、晴れた日に望む雄大で秀麗な名峰の眺望、これらは、外国人ならずとも、多くの人の感動や希望、安らぎを感じさせるものであり、観光資源としても高く評価されるものである。

自然環境や人文環境(歴史文化など)について科学的な情報分析のもと、名峰のもつ魅力を引き出す国際的な視点や評価にもとづく観光プログラムづくりを進めることで、「日本らしい」観光交流文化エリアを形成させることができる。

このような状況のもと、本事業では、鳥取県の大山から、富士山、羊蹄山、岩手山など全国の名峰地域に呼びかけ、名峰にみる日本の自然の美しさ・素晴らしさ、歴史文化の魅力、観光資源性について情報交流をはかるとともに、鳥取県において名峰大山の自然景観や歴史文化遺産の資源性について再認識をはかる。あわせて、全国の名峰地域と連携し、国際的基準での名峰景観ツーリズム・プログラムを開発し、名峰大山の自然と景観、文化遺産を全国および世界に情報発信することで、良質な観光客を大山地域に招き入れ、名峰大山を中心とした国際的な観光文化交流圏の形成を進めるとともに、大山地域より美しい日本の自然と風景の保全再生を進めることを目的とする。

ここでいう「国際的基準」とは、「国際的な視点・観点」の意味であるが、プログラム開発にあたっては、自然環境、社会的環境などの分野において、専門的な見地からの評価をもとにした作業を実施し、科学的な内容であり、かつ、客観性の高い内容とすることで、世界に向けて信頼度の高い情報を発信するという趣旨を含ませる意味で「国際的基準」という表現とした。

本事業は、鳥取県の大山から全国の名峰地域に呼びかけて国際的基準の観光プログラムを開発し、寂れ行く農山村地域の再生・活性化とあわせ、美しい日本の自然と風景の保全をはかろうという具体的かつ実践的な取り組みでもある。



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2.事業の背景




鳥取県のランドマークである大山は、日本百名山の一つであり、素晴らしい自然と景観、歴史文化遺産に恵まれながら、名峰の有する魅力や資源を活用した観光プログラムは開発途中にあるため、その美しい自然や景観は、資源として活用されることは少ない。そして、過疎高齢化の流れの中、大山の山麓および近隣地にある山村農村地帯は疲弊と荒廃が進行しつつある。

これを打開する手段としてエコツーリズムに代表される資本投資の少ない自然体験型観光があげられるが、有効なる体験プログラムは開発途中の段階で、受入れ施設も乏しい状況で、観光資源だけを個別の地域が情報発信を行っても、多くの地域からの観光情報が飛び交う中、埋没感はぬぐいきれず、名峰大山および大山地域もつ特殊性を活かした情報発信と観光振興策が求められている。

大山の山麓および近隣地にある山村農村地帯は疲弊と荒廃が進行しつつある中、世界では日本の自然や歴史文化が着目されつつあり、名峰大山は、火山の風景が少ないヨーロッパ系外国人にとって見れば、まぎれもなく日本を代表する景観資源であり、その山麓や近辺にある山村農村の環境は、外国人の求め憧れる日本らしい原風景である。

名峰の自然と風景、自然を活用した観光プログラムを開発は、田舎暮らしや自然回帰志向の高い日本の都市生活者を大山地域に誘導する上でも有効であり、大山地域が全国の名峰地域と連携して事業を展開することは、情報発信効果が高まるだけなく、火山国そして島国である日本らしい国際的基準の観光プログラムづくりを進めることになり、外国人にとっては日本の自然と生活文化の魅力、日本人にとっては祖国の自然や歴史文化の素晴らしさを再発見することになる。そして、大山地域住民や鳥取県民にとっては、ふるさとのよさや地域資源を再認識することになり、観光に地域経済の活性化とともに、美しい日本の自然と風景の保全再生へとつながる。

 グラウンドワーク大山蒜山では、これら名峰の風景や自然文化遺産について自然学校事業を通じて資源活用をはかり、美しい日本の自然と風景の保全再生を進めており、会員メンバーは、発足以前から、全国の名峰地域に出向き、景観や自然環境、歴史文化資源、体験型観光への取り組みなどについて調査を行っており、全国グラウンドワークネットワークの協力のもとに、名峰地域における各種団体と景観・自然環境の保全や自然学校、エコツーリズムについて情報交流を行っている。そして、大山地域においても、名峰大山のビューポイント調査、サントリー水育「森と水の学校」への運営協力、ギフチョウ生息環境の保全、奥大山古道の保存活用、大山蒜山自然学校の開校などを実施しており、学識経験者や各種団体との連携の中で、景観・自然環境の保全や自然学校(自然体験型環境学習事業)、地域自然文化遺産を活用したエコツーリズムなどの事業を推進してきた。

 また、会が発足した2008年より「大山蒜山ミーティング」という名称で、大山蒜山地域の環境保全や観光交流について語る環境観光シンポジウムを開催しており、2010年11月に「大山道(古道)の環境再生と活用」をテーマについて語るシンポジウム(第三回大山蒜山ミーティング)を開催している。そして、これまで「大山蒜山ミーティング」を開催するにあたり、大山蒜山地域の自治体(江府町、真庭市、伯耆町、大山町、米子市、琴浦町、倉吉市、鳥取県など)、環境NGO、自然保護団体、大学研究機関(鳥取大学)、観光関連団体などで実行委員会を組織し、企画運営を行っており、地域内の自治体や多くの団体と連携協力して、大山地域での活動を続けている。



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3.事業の内容





本事業では、「名峰風景ツーリズム・シンポジウム大山の開催」にあわせて、「国際的基準での名峰観光プログラム(大山モデル)づくり」を進め、名峰にみる日本の自然の美しさ・素晴らしさ、歴史文化の魅力、観光資源性について情報交流をはかるとともに、鳥取県において名峰大山の自然景観や歴史文化遺産の資源性について再認識をはかる。

名峰地域シンポジウムを契機に、全国の名峰地域と連携し、国際的基準での名峰景観ツーリズム・プログラムの開発を進め、名峰大山の自然と景観、文化遺産を全国および世界に情報発信する。


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(1)名峰風景ツーリズム・シンポジウム大山の開催



「名峰風景ツーリズム・シンポジウム大山」は、紅葉期にあたる11月11日〜13日の3日間で実施し、大山地域体験型観光フォーラム交流会(1日目)、全国名峰(ふるさとの大きな富士)環境観光シンポジム(2日目)、名峰地域の美しい自然を巡る大山風景風土ツアー(3日目)の三部構成とする。 1日目となる11月11日(金)の「大山地域体験型観光フォーラム交流会」は、鳥取県の大山を中心としたエコツーリズムや体験型観光、自然学校など、地域の自然や景観、歴史遺産、生活文化を資源とした地域振興の取り組みについて情報交流を進め、名峰大山を核に周辺の農山村地域・海浜地域の自然や景観、生活文化、歴史資源を活かした広域的な活動連携について実践的な旅行プランづくりを話し合う。

2日目となる11月12日(土)の「全国名峰(ふるさとの大きな富士)環境観光シンポジム」は、富士山、羊蹄山、浅間山、阿蘇山、岩手山、大雪山・十勝岳など名峰地域において自然環境保全や景観保全、エコツーリズム、体験型観光、自然学校など地域資源の保全活用の取り組む組織・団体を招き、それぞれの名峰について優れた環境や景観、歴史文化などを紹介しながらの「山自慢」や情報交流を行い、日本全国の名峰を訪ねて九州・沖縄から東北・北海道まで、日本各地の自然や景観、生活文化、歴史、食などを楽しむ外国人向けの名峰地域風景風土ツーリズムの企画について意見交換を行う。 3日目となる11月12日(日)の「名峰地域の美しい自然を巡る大山風景風土ツアー」は、名峰大山を中心(主役)に周辺の農山村地域・海浜地域の優れた景観や自然、生活文化、歴史資源を訪ねるツアー見学会(モニタリングツアー)として開催する。12日のツアー見学会(モニタリングツアー)は、奥大山を出発点に伯耆富士コース(奥大山〜米子・南部)、奥日野コース(奥大山〜日野・日南)、弓浜半島コース(奥大山〜中海・境港)、裏大山コース(奥大山〜倉吉・琴浦)、高原牧野コース(奥大山〜蒜山高原)、大山道コース(古道トレッキング)、ブナ樹海コース(奥大山トレッキング)の7コースで実施する。

以下、大山地域体験型観光フォーラム交流会(1日目)、全国名峰(ふるさとの大きな富士)環境観光シンポジム(2日目)、名峰地域の美しい自然を巡る大山風景風土ツアー(3日目)について、それぞれの事業内容を示す。

1)大山地域体験型観光フォーラム交流会(1日目)

@実施予定日:2011年11月11日(金)

A対象者、参加(予定)人数:鳥取県民を主に近隣県住民など150人を予定

B開催場所(会場):鳥取県日野郡江府町御机(エバーランド奥大山)

C事業概要

■構成:活動報告会および連携のための意見交流会
■テーマ:大山および周辺地域での自然学校・体験型観光・エコツーリズムの連携
■出演者(報告者など): 奥大山、大山寺周辺、奥日野地域、倉吉周辺、芦津渓谷、蒜山高原、三瓶山、中海宍道湖周辺、西中国山地などでの活動実践者・団体、鳥取県知事(可能であれば)

D事業内容

大山地域およびその周辺地域、中国山地において、エコツーリズムや体験型観光、自然学校など、地域の自然や景観、歴史遺産、生活文化を資源とした地域振興や環境保全活動に取り組む個人・団体が奥大山に集まり、「大山および周辺地域での自然学校・体験型観光・エコツーリズムの連携」をテーマに、それぞれの活動報告を行い、連携のための情報交流を行うとともに、名峰大山を中心(主役)に周辺の農山村地域・海浜地域の自然や景観、生活文化、歴史資源を活かした広域的な活動連携について実践的な旅行プランづくりを離し合う。

あわせて、会場には大山周辺で特産物の開発などに取り組む団体の展示販売コーナーを開設し、名峰大山の恵みとして参加者に紹介する。

2)全国名峰(ふるさとの大きな富士)環境観光シンポジム(2日目)

@実施予定日:2011年11月12日(土)

A対象者、参加(予定)人数:鳥取県民を主に300人を予定

B開催場所(会場):西伯郡大山町大山(大山総合体育館)

C事業概要

■構成:全国名峰地域からのふるさとの富士自慢(名峰紹介)およびディスカッション
■テーマ:名峰地域の自然と景観、文化遺産を活かした環境ツーリズム連携と国際的基準での名峰地域風景風土ツーリズム・プログラムの開発
■出演者(発表者・コメンテーター) 大山、富士山、羊蹄山、大雪山・十勝連峰、阿蘇山、浅間山、岩手山、鳥海山、谷川岳、大台ヶ原など名峰地域での活動実践者・団体 鳥取大学、鳥取環境大学、広島大学、島根大学、岡山大学から学識経験者、外国人芸術家、旅行業関係者、マスメディア関係者、地元市長・町長など

D事業内容

 火山国の日本には、富士山、大山をはじめ、羊蹄山、岩手山、岩木山、鳥海山など、美しい火山峰が多く見られ、これらの名峰は、信仰の山(霊峰)、地域のシンボル、地方のランドマーク、「ふるさとの山」として、古来より多くの人たちに崇められており、ブナ自然林など神聖な空間として山の自然がよく保全されてきた。

 その周辺には秘湯・名湯や滝・渓谷、清流、湖沼、牧野などの景観資源も数多く見られ、名峰山麓の農村域には歴史文化遺産も多く残されている。そして、何よりも麓の人里や農村域から眺める秀麗な名峰の景観は、日本を代表する心の風景である。

 日本の名峰は、地域に暮らす人にとっては、「ふるさとの富士」であり、お国のシンボル、ランドマークであり、日常的な暮らしの風景の中にとけ込んでいるが、火山地形になじみの薄い外国人にとってみれば、美しい姿で聳える緑豊かな火山峰は、驚異の存在であり、日本の自然の魅力を紹介する上では、絶好の存在でもある。

全国名峰(ふるさとの大きな富士)環境観光シンポジムでは、富士山、羊蹄山、浅間山、阿蘇山、岩手山、大雪山・十勝岳など名峰地域において自然環境保全や景観保全、エコツーリズム、体験型観光、自然学校など地域資源の保全活用の取り組む組織・団体を招き、それぞれの名峰について優れた環境や景観、歴史文化などを紹介しながらの「山自慢」や情報交流を行うことで、日本の名峰の有する観光資源性について情報発信を行うとともに、名峰地域の連携による国際的基準での名峰観光プログラムづくりや名峰を中心(主役)とした国際的な観光文化交流圏の形成や生物多様性を活かした自然観光地づくりについて話し合う。

あわせて、日本全国の名峰を訪ねて九州・沖縄から東北・北海道まで、日本各地の自然や景観、生活文化、歴史、食農、工芸、芸術・芸能などを楽しむ外国人向けの名峰地域風景風土ツーリズムの企画について意見交換を行う。

3)名峰地域の美しい自然を巡る大山風景風土ツアー

@実施予定日:2011年11月13日(日)

A対象者、参加(予定)人数:鳥取県民を主に220人を予定

B開催場所(コース): 日南町、日野町、江府町、伯耆町、大山町、米子市、境港市、南部町、琴浦町、倉吉市、 美保ノ関町、安来市、真庭市など

C事業概要

■構成:大山周辺の景観と自然、文化遺産をバスと徒歩で訪ねるツーリズム研修会
■テーマ:大山地域の気候風土を楽しむ自然、景観、歴史、生活文化を活かした観光
■出演者(案内人・ガイド講師) グラウンドワーク大山蒜山、大山日野川自然の会、中海自然再生センター、大山王国、大山自然歴史館、大山情報館、奥大山古道保存協議会、日野郡いきいきツーリズムネットワーク、蒜山ガイドクラブなどの会員(個人参加)・関係者・有識者

D事業内容

名峰大山を中心(主役)に周辺の農山村地域・海浜地域の優れた景観や自然、生活文化、歴史資源を訪ねる風景風土ツアー見学会(モニタリングツアー)として開催し、奥大山を出発点に伯耆富士コース(奥大山〜米子・南部)、奥日野コース(奥大山〜日野・日南)、弓浜半島コース(奥大山〜中海・境港)、裏大山コース(奥大山〜倉吉・琴浦)、高原牧野コース(奥大山〜蒜山高原)、大山道コース(古道トレッキング)、ブナ樹海コース(奥大山トレッキング)の7コースで実施する。

このうち、大山道コース(古道トレッキング)、樹海渓流(奥大山トレッキング)以外の風景風土ツアー見学会は、コースごとに解説案内人(ナレーター)が付き、バスで名峰とその周辺域の環境・気候風土について物語性をもって案内する。案内先では、現地で活動する人、土地に暮らす人がその地の優れた景観や風景、自然、気候風土、生活文化について話しをし、参加者との交流と行う。

 大山道コース(古道トレッキング)、ブナ樹海コース(奥大山トレッキング)は、ガイド講師のもと大山古道や山道を歩きながら、大山の自然と歴史、文化遺産を訪ねる。

 以下、各コースの概況を示すが、訪問ルートについては、案内者となる関係団体関係者や地元住民との話し合いによって選定し、当日の気候気象状況にあわせて設定する。

a.伯耆富士コース(奥大山〜米子・南部)

大山山麓の山村地帯、大山を背景にした農業地帯をバスで訪ね、美しい伯耆富士の眺望とその山麓に生きる人々の暮らし・歴史文化、心に残る日本の農村風景を巡る

b.奥日野コース(奥大山〜日野・日南)

 奥大山から日野川に沿ってバスで遡り、オオサンショウウオの棲む美しい清流や静かな山里を訪ね、源流域の山里に生きる人々の暮らし、昔懐かしい山里の風景を巡る

c.弓浜半島コース(奥大山〜中海・境港)

 奥大山から日野川に沿ってバスで中海、弓ヶ浜に下り、中海の自然再生に取り組む人々や水鳥公園などを訪ね、中海の自然や海と大山の風景、海と人の暮らしの風景を巡る d.裏大山コース(奥大山〜倉吉・琴浦)  奥大山からバスで山を越え、裏大山と呼ばれる東大山の農村地帯、田園地帯、家並みを回りながら、自然と歴史文化、火山の裾野に広がる農と大地の風景、人の営みを巡る

e.高原牧野コース(奥大山〜蒜山高原)

 大山、烏ヶ山、蒜山の山々を背景に牧歌的な風景が広がる奥大山から蒜山高原にかけての高原農村域をバスで回り、高原の農村域に生きる人の暮らしと自然の風景を巡る

f.大山道コース(古道トレッキング)

 大山寺や大神山神社を中心に大山古道を歩き、大山北壁の雄大な眺望(ビューポイント)や霊峰大山の歴史文化遺産、ブナの自然林、宿坊など歴史を感じさせる風景を訪ねる

g.奥大山コース(奥大山トレッキング)

ブナの自然林、渓流、山麓の山里、湿原・草原など奥大山に広がる自然域や山麓農村域を歩き、季節感豊かな天然林や大山南壁を背景とした静かな山里の風景を訪ねる


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(2)国際的基準での名峰観光プログラム(大山モデル)づくり



「国際的基準での名峰観光プログラム(大山モデル)づくり」は、名峰を中心(主役)に周辺の農山村地域・海浜地域・森林自然地域を巡り、美しい名峰の眺望、その地にくり広げられる大自然のドラマ、四季折々の自然の風景、その土地に暮らす人々の生活文化、歴史文化遺産を訪ねることで、その地域の気候風土、自然環境、人の自然との係わりを名峰の美しい風景とともに楽しむ風景風土ツアーの旅行プランを外国人観光客向けに開発するものであるが、本質的には名峰にスポットライトをあてながら、日本の自然や文化を再評価・再認識し、美しい日本の自然と風景の保全再生をはかるものである。

本事業では時間的・人材的な制限のもとでの作業となるため、ここで作成する名峰観光プログラム(大山モデル)は、提案作業の段階のものとする。

@実施予定日:2011年7月〜2012年3月

A作業機関:グラウンドワーク大山蒜山を事務局とするワーキングチーム

B対象地域: 日南町、日野町、江府町、伯耆町、大山町、米子市、境港市、南部町、琴浦町、倉吉市、 美保ノ関町、安来市、真庭市など

C事業概要

 ■現地調査・・・大山地域およびその周辺域での自然環境、景観、歴史文化遺産など
 ■名峰地域調査・・・名峰地域で活動する組織・団体との情報交流による
 ■ワークショップ研修会・検討会・・・学識経験者、関係機関の指導協力のもとに開催
 ■名峰観光プロクラム案の作成・・・学識経験者、関係機関の指導協力のもとに作業

D事業内容

「国際的基準での名峰観光プログラム(大山モデル)づくり」は、名峰を中心(主役)に周辺の農山村地域・海浜地域・森林自然地域について、美しい名峰の眺望、その地にくり広げられる大自然のドラマ、四季折々の自然の風景、その土地に暮らす人々の生活文化、歴史文化遺産、既存の公園施設・宿泊施設・休憩施設などを調査し、観光資源性や観光利用の方法を国際的な視点から考え、名峰地域風景風土ツアーとして旅行企画を作成する形で進める。

ここでは、大山をモデルに名峰について、

@高さ(標高、比高差)・大きさ(体積・ボリューム)・広がり(山域の面積など)

A山としての形状の美しさ(円錐型、スカイラインの特徴、山頂の鋭さなど)

B植生などの自然度、野生生物の生息状況、自然公園など指定状況

C山体の成り立ち・地形・地質の特異性(火山噴火、崩壊、隆起、断層)

・・・などの山体のもつポテンシャルに加えて、

D山麓域の風景の美しさ(高原農村風景、山里の景観、田園風景、古民家、風景木など)、

E周辺からの山の眺望(可視領域の広がり、ビユーポイントの数など)、

F名峰を含む地域全体での自然の豊かさ・生物多様性(植生自然度、野生生物など)

G山にまつわる歴史文化遺産の分布(古道、修験場跡、石造物など)、

H伝説・民話、山の歴史

I山や周辺域における人と自然との係わり・生活文化(山麓での人の暮らし、民族文化)

J環境美化や自然保護活動の状況、

K登山道や自然歩道など人が自然にふれあえる環境の状況、

L周辺に暮らす人々の来訪者への対応

M宿泊施設や休憩施設などの状況

・・・などを調査分析し、文化性の高い外国人観光客が求める観光要素の量や質について評価する客観基準を設定し、名峰地域のもつ観光資源性についてのポテンシャル評価を行うとともに、調査によって得られた観光資源情報をもとに、文化性の高い外国人観光客が好む旅(名峰地域風景風土ツアー)の企画づくりとして実施する。

 火山国に日本には、富士山、羊蹄山、岩手山、大山に代表される美しい火山峰が多く見られ、日光国立公園や阿寒国立公園など、山や湖の美しい風景が広がる自然観光地となっている。一方で、国立公園の外側では、別荘建設に加え、農地や集落の荒廃による美しい景観や自然が失われつつあることから、自然再生活動や田舎暮らしを取り入れたエコツーリズムやグリーンツーリズムを推進することで、美しい環境の再生と観光交流を促進することができる。

 本事業は、自治体と住民・NPO等、企業が県境を超えて連携し、荒廃が進む巨大火山の山麓について、美しい自然と風景を保全しながら、観光交流エリア形成を進める取り組みである。

美しい名峰の風景・景観は、大きな日本の魅力であり、外国人旅行客を誘致する有用な資源であるにも係わらず、それを観光利用するノウハウや観光文化が育っておらず、美しい眺望も年を追うごとに変質したり(景観悪化)、見えなくなってしまうことが全国各地で起こっている。

これまで、名峰の観光といえば、ハイキング登山のほか、観光コース上にある有名なビューポイント(展望地)を車で巡る旅行が主であった。そして、展望地型観光スポットの多くは国立公園内にあるため、土地利用が規制された地点(ポイント)活用であり、美しい風景地であっても短時間の滞在しかできなかった。しかし、名峰を美しく望むポイントは、山麓の水田農村域や高原牧野域にも多く見られ、その多くは国立公園外であり、生活空間域であった。名峰大山の山麓も過疎高齢化の進行により、農地の荒廃や空家が多くめだつようになり、昔の農村風景も消失しつつある。

このような名峰山麓の農村域について、かつての懐かしい自然風景を保全しつつ、田舎暮らし体験や自然再生活動体験、農村生活文化体験、写真撮影、絵画スケッチ、音楽演奏などの体験活動・文化芸術活動を観光メニュー化し、エコツーリズムやグリーンツーリズム活動をはかることで、新しい観光ビューエリアづくりを進めることができる。

「名峰の眺め」は、観光資源でもあるが、写真や絵画などの芸術文化の対象でもあり、芸術文化活動や景観保全活動と結びついた観光が地方に発生し、観光交流活動の裾野が広がるとともに、新しい観光文化・観光コンテンツも生まれる。

なお、自然域での観光は、天候や季節によって大きな制約を受けるが、ビューポイント一帯に昔懐かしい自然や風景を再生させることで、山の眺望が悪い時でも、自然(ビオトープ)観察や田舎暮らし体験、自然再生活動が楽しめるようになり、観光利用が促進される。

一方、美しい富士山の眺めを期待して日本を訪れる外国人良好者は少なくないが、富士山、大山、羊蹄山など美しい火山峰の眺望を上手く観光コンテンツに取り入れることは容易でない。短時間の滞在では、天候条件により山が眺められないからである。本事業は、魅力的とされつつも、これまであまり観光メニューとされていなかった「山や高原、山里の眺めを楽しむ体験」を、田舎暮らし体験やトレッキングと結びつけ、「名峰の眺め」を観光資源として活用することにも挑戦する。

ここで養われるノウハウを活用し、歩く観光、トレッキングの文化をもつ欧米(とくにイギリス人)の外国人旅行客の誘致からはじめることで、日本の四季や農村を楽しもうと考える外国人旅行客誘致を進める。